内田康夫・サスペンス:1

浅見光彦

浅見光彦を主人公にするシリーズは作品が多いです。
ルポライターで事件との関わりも色々です。
警察庁幹部の兄の協力も多いです。
多くはヒロインが登場します。
しかし永遠の独身でしょうか。
作品テーマは多岐です。

はちまん

ルポライター・浅見光彦(中村俊介)は、女性カメラマン・小内美由紀(黒谷友香)と雑誌取材で長野県中野市を訪れ「小内八幡神社」で美由紀と光彦は、謎の老人・飯島昭三(山谷初男)と出会い、神社名由来を丁寧に説明し祖母の事を聞かれ飯島と美由紀の祖母は知り合いだった。
翌朝、千曲川で飯島の水死体が窒息死で見つかり、長野県警・松本刑事(中西良太)は名刺から光彦を職務質問するが、美由紀が浅見の兄の刑事局長・陽一郎(榎木孝明)の名前を出すと情報を教えた。
浅見は目黒の飯島家を訪れ、美由紀と彼女の交際相手で文科省勤務・松浦勇樹(渡辺大)に会い、松浦は文科省で飯島の後輩だった。
呉市の美由紀の実家で母・加代子(草村礼子)から飯島が訪問したと聞いた。
飯島は終戦時、特攻隊員で生き残りの仲間として、政治家・金久保(西沢利明)やスポーツ議員・宮下(浜田晃)らがおり、戦友を訪ねる八幡神社巡りだったかもと言った。
出向先の高知に戻ると言った松浦を、光彦と美由紀は碑文谷八幡境内脇で老人・高塚(山本學)と深刻に話すのを見た。
高知で松浦が火事で死に、スポーツ籤に関係していたと聞き、松浦と高塚が親戚と聞いた。
光彦は長野と高知の関連に気づき、飯島が戦友を訪ねていたと考え、美由紀・加代子と高塚に会い、終戦時の上官殺しの真実を飯島が知り暴くつもりだったと聞いた。
高塚は金久保を呼び出して自ら決着しようとすると気づいた光彦は、高知に向かった。
<以下、隠し字>
終戦時の上官殺しは、上官の物品の横流しでなく仲間割れであり、気づいた飯島と松浦を殺した黒幕が告発する高塚を殺害しようとするのを光彦と松本刑事らが防いだ。
そして、実行犯と共に・・・・・。


監督:金佑彦
脚本:峯尾基三
原作:内田康夫「はちまん」
出演者:中村俊介・黒谷友香・山谷初男・中西良太・榎木孝明・渡辺大・草村礼子・西沢利明・浜田晃・米倉斉加年・小倉久寛・野際陽子
制作年:2013年


感想: 長野・東京・呉・高知を結ぶ広い地域と、動機が戦時中まで遡る時間スケールの話です。
登場人物の繋がりがことごとく繋がって行く。
ちょっと駆け足的な面は強い。

平城山を越えた女

ルポライターの浅見光彦(中村俊介)は、「旅と歴史」の取材で京都を訪れ大覚寺で写経中に寺社仏像に詳しい女性編集者・阿部美果(遊井亮子)と会い、誰かを探している男性(中島久之)が娘の行方を探していると東京の中興商事の野平隆夫の名詞を渡した。
浅見は美果に、盗難で行方不明の「香薬師」という仏像があった新薬師寺に連れて行き「香薬師」に興味を持ち始めたが、美果とホトケ谷を散策中に女性の転落死現場に遭遇し、名が野平で名詞を警察に渡したが別人との返事だが、女性は傘で顔が見えないが服装で目撃されており、解剖から他殺と判った。
東京で浅見は阿部と野平隆夫の勤め先を訪問すると行方不明で恋人と会い、阿部の紹介で細岡教授(石田太郎)から「香薬師」の事を聞き、家で母(野際陽子)から古い図鑑で「香薬師」を見て、新薬師寺に行った美果は「香薬師」を見せるという勧誘にあい浅見に連絡した後に襲われたが警察が助け、野平隆夫が消えたと聞いた。
男の出入りしている古物商・河部(鶴田忍)は何も知らないと言うが昔、日吉館に細岡・橋口(大和田伸也)・河部が来ていた同窓と判った。
細岡の出版パーティで男性(中島久之)を見かけ、橋口の秘書・保坂と知るが話が聞けず、浅見は阿部から橋口が奈良に別荘を作ったと聞いた。
東京の兄・陽一郎(榎木孝明)と話をした浅見は、橋口失脚の動きを保坂がしており、理由はスキャンダルの可能性と聞いた。
浅見は保坂を訪ね、娘・きよ子(嘉門洋子)に会い、保坂の部屋で1ページ敗れた図鑑を見つけ家のものと比較し「香薬師」のページと知った。
浅見と阿部は細岡にあい問いただすと、河部と橋口が「香薬師」を盗んだが戻せない内に話が大きくなり今はどこにあるか判らないと打ち明けた。
<以下、隠し字>
警察と浅見と阿部は、野平成子と保坂きよ子の関係や保坂きよ子の実父が橋口と知り、橋口の別荘の地下室に古美術室があり搬入に野平隆夫が立ち合ったと聞き、傘で顔が見えない女性が保坂きよ子と思い、保坂親子の偽装には橋口の大きな理由があると考えた。
別荘で浅見と阿部に橋口は野平隆夫から聞いた野平成子が「香薬師」を見たため自分が殺し、自殺に見せるために保坂親子に隠蔽を頼んだと自白した。
浅見は橋口が大きな理由を隠していると聞くと、野平成子殺しは保坂きよ子で自分は償いだと言った。


監督:林憲昭
脚本:峯尾基三
原作:内田康夫
出演者:中村俊介・遊井亮子・中島久之・石田太郎・野際陽子・鶴田忍・大和田伸也・榎木孝明・嘉門洋子
制作年:2013年


感想: 浅見の推理は動機と勘が主体で、論理性と物証が伴わない。
ストーリーの面白さと、多重どんでん返し的な内容で探偵たらしめる。
「香薬師」は盗まれたのは事実で、見つかったのは全てフィクションだが小説等の主題としては面白い。

鬼刑事と車椅子の少女/ドクターブライダル

女性遺体が発見され、東大和中央署刑事課巡査部長・河内凪雄(遠藤憲一)は、病院で女医・藤原敦子(萬田久子)に胃潰瘍手術を診断されていたが現場へ急行した。
遺体は死後半年の扼殺で被害者の歯にフッ素が付着し審美歯科治療と思われ、河内は警視庁・岡部和雄(葛山信吾)本部長の指示で捜査一課・平井実警部補(内田朝陽)と歯医者への聞き込み開始した。
車椅子の少女・橋本千晶(緑友利恵)は金井公江(阿知波悟美)と暮らす以前の事件の被害者の娘で、河内の亡き娘・順子(緑友利恵)にそっくりで親しく誕生日に河内を招待した、その後「ドクターブライダル」という結婚相談所から封書が届き親友・長田竹美(仙石みなみ)が親に内緒で応募したと知り、千晶は竹美と次の日曜に会う約束した。
遺体の似顔絵公開でフリーのルポライター・中町ルリ(森下千里)と判明し、部屋から結婚相談所のパンフレットが見つかり、結婚相談所の捜査も加えたが見つからなかった。
竹美から連絡がない千晶は、竹美の母・和歌子(山本みどり)から合宿と聞くがその後、竹美が殺害され河内は現場でブローチを見つけた。
捜査陣は川端正彦(松尾諭)から脱税容疑は認めるが殺人と無関係といわれ、柴田透(蟹江一平)を調べるが養子で、井口昭三郎(寺田農)という医療品会社の講演であった。
千晶は竹美の「ドクターブライダル」への登録を調べるため河内が父の振りをするが、事務長・水野忠雄(浅見小四郎)や事務員・横山珠恵(野呂佳代)は個人情報は教えないが、千晶が登録しようとすると竹美が登録済みで千晶は事務所の様子も変と思い、岡部は生安が「ドクターブライダル」を売春容疑で捜査中と言い人体組織ビジネスの疑いもあると言った。
<以下、隠し字>
河内は井口の会社を疑い、竹美の見合い相手から遊び絡みの結婚相談所の話を聞いた歯科医の名前を聞き、岡部は生保に売春容疑で家宅捜査令状を依頼し、水野と井口を逮捕するが殺人以外は自供した。
千晶は河内に歯科医の名前を聞きくが答えないが、千晶は自分が登録して囮になる提案をしたが河内は認めなかったが、公江から河内に千晶がパソコンで登録し歯科医にコンタクトすると連絡があり、河内・平井は追い方向に井口の別荘の存在を知り駆けつけ、千晶が歯科医にブローチで迫り襲われた所を救った。


監督:皆川智之
脚本:佐伯俊道
原作:内田康夫『少女像は泣かなかった』収録「ドクターブライダル」
出演者:遠藤憲一・緑友利恵・萬田久子・葛山信吾・内田朝陽・阿知波悟美・松尾諭・蟹江一平・寺田農・森下千里・仙石みなみ・浅見小四郎・山本みどり・野呂佳代
制作年:2013年


感想: 古いタイプの妻子を亡くした刑事と同じく両親を亡くした車椅子の少女のふれあいだ。
そこに互いに事件に巻き込まれ、それが一致する展開だ。
事件の構造は複雑だが、犯人は次々わかり、殺人犯は誰でも良さそうに思える。

幻香

ルポライター・浅見光彦(中村俊介)に母・雪江(野際陽子)から香水が染みた封書を渡され、国井由香(原田夏希)の名前と場所と日付と兄の名前が書いて有った。
浅見は待つが由香は現れず、栃木南署・山北(せんだみつお)ら刑事がきて先日殺害の調香師・戸村浩二(中原裕也)のメモを説明され、浅見の手紙と同じ時間と場所と栃木の地名が書かれていた。
浅見と山北は戸村が調香を学んでいた西原香料研究所を訪れ、そこで調香師・西原マヤ(市川由衣)の父・西原哲也(青山勝)から、天才調香師・国井和男(隆大介)を戸村に紹介し和男には由香という娘がいて、由香と戸村は恋人で由香はパリで調香師をしていて、和男が10年前に栃木・龍王峡で死んだ事と、香展覧会を知らされた。
光彦は陽一郎(榎木孝明)から由香の帰国を知らされ、戸村浩二の葬儀で地名メモが国井和男の筆跡で、沼田皇漢製薬開発部長・蒲生慎司(片桐竜次)と国井和男の弟子の同研究所長・沼田皇奈子(青山倫子)が参列し、夜に人目を避け来た国井由香に光彦は会い別の事件での光彦の活躍を覚えていて、8年前の事件で警察不信だった。
幸来橋で由香は事件は和男の作った香水が原因で手帳が無くなり特許出願直前で、光彦はメモの4地名が重要と考え、香展覧会で由香と光彦は一同に会い、事情を聞くとマヤと哲也は誤解を解くため由香の母とマヤの母の事故死を語り皇奈子は助かったが、国井和男は三位一体に興味があり3つの香水を混ぜると刺激的になり麻薬的効果があった。
陽一郎は光彦の話から、事故死を確認し特許は皇奈子が出願済みで、光彦は雪江から聞香を教えられ、和男の本を貰い今市に沼田皇漢製薬があると知り訪問すると皇奈子は三位一体の一つを預かっておりもう一つはマヤが持ちもう1つは不明で、皇奈子は事故で右手が不自由になりピアニストを諦めた。
<以下、隠し字>
光彦は湯西川で由香と、和男の友人・田所貢(中西良太)巡査から寄木細工箱を由香にと預けようとしたが持帰り、栗山東照宮にゆくと行ったが無く、井上ら2人が言い寄って来て若い方が大麻の匂いがすると由香は言った。
光彦と由香はおもちゃの村の伯母・森山菊江(島かおり)から叔父が預かったかも知れないが国井家とは仲が悪かったと言い、男が1人が田所の息子・啓一(湯川尚樹)で井上の会社と沼田皇漢製薬に繋がりが判り、由香は森山家で見つけ、皇奈子は特許は取得していないと言った。
光彦は湯西川の平家の里に向かった由香を追い、由香は田所の息子に会い大麻の匂いをかぎ取ったと追求し襲われたが田所が助け光彦が駆けつけ、田所は息子を説得したがまだ続けていたと言ったが田所の息子は死に手掛かりが切れたが、光彦は陽一郎に頼み、田所の息子が助かると話し殺しに来た井上を逮捕した。
光彦は蒲生に香水を狙い、国井和男の妻を実験に使い気づいた和男を殺害し皇奈子は特許を取り下げ、知った戸村の告発を止めるために殺害し・・・・。


監督:金祐彦
脚本:峯尾基三
原作:内田康夫「幻香」
出演者:中村俊介・原田夏希・青山倫子・市川由衣・片桐竜次・せんだみつお・島かおり・中西良太・隆大介・青山勝・榎木孝明・野際陽子・中原裕也・湯川尚樹
製作年:2013年


感想: 調香の世界とビジネスの世界のギャップ。
調香師が嗅いだ匂いが犯罪を暴く。
ただ、後者の必然性と犯人の必然性は乏しい。

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