立花陽介・新聞社地方通信局

概要

立花陽介:水谷豊
東洋新聞の地方通信局記者。地方の通信局を転々と勤務する。
立花久美:森口瑶子
絵本作家だったが、立花と結婚を機に退職。
根岸隆一:片桐竜次
東洋新聞の記者。本社社会部勤務。

1話:1993年5月25日:伊豆下田通信局

立花陽介(水谷豊)は絵本作家の久美(森口瑶子)との結婚と、伊豆下田通信局への異動が決まっていた。
東京葛飾で古い白骨死体が発見され陽介が記事を書いた。
下田に単身赴任する陽介は旧街道を選んだがトンネルの出口で、「金魚を1匹突き殺す」という紙片が落ちてきて、近くに死体を発見した。
修善寺警察の伊沢刑事(井川比佐志)と被害者・福本修三の娘・まみ(竹井みどり)と会い、まみを下田におくる時に紙片の字が福本と知った。
福本は水口商会に勤めていて、陽介はわさび沢で水口健社長(高橋長英)と会った、次に伊沢の後を追い虹の里で福本が塚本食品開発部長の多木川と会っていたと知った。
福本の葬儀が行われ、寺の住職から福本は浮浪児で、住職は戦後に数人の浮浪児を育てていたと聞き、まみは福本が1週間前に東京に行ったと言った。
陽介は東京の塚本食品で社長・塚本のぶ子(佐々木すみ江)と会い俳句が趣味で、死んだという息子・洋一の写真を飾っていて、長く水口商会を援助していたと聞いた。
営業部長の柳田常務は社長の指示だったが、水口商会を子会社にしたい多木川開発部長と対立していた。
陽介はそこで偶然に根岸と会い、葛飾の白骨死体を1週間前に福本が訪ねていた事と塚本社長も近くに住んでいたと聞いた。
下田に戻った陽介はまみに確認していた所に、久美がやって来た。
「金魚を1匹突き殺す」の紙片に悩む陽介に、久美は北原白秋の「トンボの目玉」の中の童話だと教えた。
死後1週間の多木川の死体が発見され、塚本社長と柳田常務が確認に来た。
浄蓮の滝の俳句箱から久美が集めてきた俳句の中にしばらく伊豆に来ていないと言った塚本社長の句を見つけた。
住職から浮浪児から中学の教頭になった男に寄贈した本の事を聞き、会うと昔に悪行遊びで人を殺したと言った浮浪児がいたが、「トンボの目玉」の話と似ていると信用しなかったと聞いた。
<以下、隠し字>
当時の写真から人を殺したと言った浮浪児が健で水口家の養子になり、今の水口商会の社長と知った。
塚本社長から罪を告白する電話があり、水口社長も出かけた。

監督:森崎東
脚本:岡本克巳
出演:水谷豊・森口瑤子・片桐竜次・井川比佐志・佐々木すみ江・高橋長英・竹井みどり・江角英明
制作年:1993

感想: 典型的な2時間サスペンスのスタイルです。
適当な伏線と適度の容疑者と、伊豆の舞台の利用で成り立ちます。

2話:1993年10月19日:伊賀上野通信局

立花陽介(水谷豊)と久美(森口瑤子)は忍者と芭蕉の里・伊賀上野へ向かっていた。
久美は、組紐教室を見つけ足立よしみ(姿晴香)と会うが休止していたが見学し、陽介は入り組んだ道を挨拶回りした。
久美は夜に出かけ死体を見つけた、それは東京の呉服屋社長・手島俊道(深江章喜)で石灯籠で殴られており、「くひな笛」が残っていた。
陽介は殺人事件は始めてという老刑事・末吉(奥村公延)と知り合った。
翌日、芭蕉翁生家へ「くひな笛」を調べに行き、やすこ(左時枝)と話している時に小村和平(大和田獏)が23年ぶりに訪ねてきた。
小村は明日香の友禅下絵師で手島は恩人で、当日は家にいたと言った。
東京の手島の葬式へ行った陽介は、マダム達から手島から半年前に「くひな笛」を貰い小村らしき同席者を万博と呼んでいたと言った。
同僚は、手島は女子大の理事長で次回選挙に奈良文理大の足立一郎教授(菅貫太郎)が立候補する事と足立が上野に住んでいると聞く。
陽介は足立に会い、次にやすこと手島が会っていた情報を得、また事件日はやすこは非番と聞いた。
やすこが堀から発見され自殺とされたが、陽介はやすこの高校時代の三角関係と万博で、逢い引きの手助けをしようとしたと聞く、二人は小村とよしみで、小村の娘は事件日に夜は不在と言った。
<以下、隠し字>
久美は、女子大ではスキャンダルが選挙に影響すると言い、陽介は二人の過去から手島がスキャンダルを作ろうとしていたと考えた。
末吉刑事が京都で小村が容疑の殺人事件で手島がアリバイ証言したと掴んだ。
小村が姿を消し、よしみの家に黒い5つの結び目のある組紐があった。

監督:森崎東
脚本:岡本克巳
出演:水谷豊・森口瑤子・大和田獏・姿晴香・左時枝・奥村公延・菅貫太郎・深江章喜・絵沢萌子
制作年:1993

感想: 謎は難しくないが、地方の観光と伏線をうまく取り入れている。
要所の推理に久美がからみ、老刑事との絡みも同様です。

3話:1994年5月24日:釜石遠野通信局

立花陽介(水谷豊)と久美(森口瑤子)は釜石と、そこから1時間内陸の遠野通信局に転勤になった。
不発弾発見の知らせがあり、それは49年前に終戦間際に艦砲射撃を受けたものであり、地方版に記事が載った。
1週間後に遠野に行った陽介と久美は、パトカーを見かけ駆けつける時に大場邦夫(山本学)・息子夫婦とすれ違い、死体現場で岩上刑事(鶴田忍)から死者は釜石住人で「かっぱ-」の文字を残していると聞くが崖からの落下が事故か殺人かは不明だった。
久美は名所巡りの途中で気分が悪くなり大場より子(杉田かおる)に助けられたが、妊娠らしい。
被害者・東山は東京生まれで疎開に遠野にきて釜石に住んでいた、妹・京子が砲撃で死に、鹿での観光計画があると言っていたが誰も信じ無かった。
陽介は久美から柳田国男の遠野物語のカッパの記述を教えられ、妊娠祝いにホテルの食事にゆくが、そこで岩上刑事を見つけた。
大場邦夫が2日前に東山と出会ったと連絡し話を聞きに来たが、大場は「2人は49年まえの遠野の疎開での知りあいで現場は当時の遊び場の近くであり、疎開には良い思い出が無い」と言った。
陽介は東山が前日にけんかで近く1億円が入ると聞き、通りすがりに京子の死に場所に花を備える大場邦夫に会った。
東京に大場の調査を依頼するが不足で陽介は自ら行き、大場印刷の社長で社訓が贖罪で息子夫妻が仲が悪いと知った。
大場より子と会い気分が悪い時はマラソン経験もありジョギングをすると聞く。
大場は縁故疎開で一緒に行った三井(北村総一郎)から、49年前に母を迎えに釜石に向かう京子を邦夫が送って行き、そこで砲撃に遭い2日後に邦夫だけが戻ったと聞く、同時に邦夫のあだ名がカッパとも知った。
<以下、隠し字>
邦夫がガンで入院し、陽介はカッパの次の「-」が「ノ」と気づくと1億円を東山に贈ると困る者を探し息子に会うが全て知っており犯行時刻にアリバイがあった。
陽介と岩上は釜石線の遠野付近の無人駅から釜石までの当日の切符を調べた。

監督:吉川義一
脚本:岡本克巳
出演:水谷豊・森口瑤子・山本学・杉田かおる・鶴田忍・野村昭子・北村総一朗
制作年:1993

感想: 釜石の戦時中の砲撃と疎開と遠野物語をうまく取り入れている。
サスペンス的にはやや強引だが、久美のキャラや偶然の出会いを取り入れてまとめている。

4話:1994年9月27日:青梅奥多摩通信局

立花陽介(水谷豊)と妊娠中の妻・久美(森口瑤子)は奥多摩を含む青梅の通信局に転勤になった。
陽介はカヌーの練習を始めたがその場所で死体を発見し、同時に小型の時計も見つけた。石井刑事(小野武彦)が出動し、死者は小高順三(下塚誠)で違和感のあるメモを残していた。
時計は手巻きの南京虫と呼ぶ古い機種で昔に故障で止まっており、昭和25-26年頃の朝鮮動乱の頃に裕福な女性が使用していたものだった。
石井刑事によると死因は多摩川の水での溺死で前日午後9-10時頃だった。
小高の妻・加奈(芦川よしみ)は死体とメモの文字を確認し、陽介に夫と別れ様としていたと言い多額の闇の借金があった、母親・とよ子(三條美紀)が引越して来た。
新聞に死者の顔写真を載せた陽介に通報があり、御岳山で小高と松島秀明(内田稔)が会い小河内の事を話していた。
陽介は東京に松島を訪ね、小河内出身で小高とは2年前に改築時に会い、御岳山では金を無心されたが励ますつもりで断り、小高死亡時には自宅にいたと言った。
再度小高の妻に会った陽介はその母・とよ子の19歳の写真と移っている時計を見つけたが、とよ子は時計は無くしたと言った。
陽介は小河内に詳しい者(下川辰平)に会い、中学の同窓会名簿に松島の名と長谷とよ子の名前を見つけた。
久美は、メモの文面を詩と思い調べて見つけたが帰宅時に転倒して流産した、陽介にメモは中原中也の詩の一節と教えた。
小河内に詳しい者を再度訪れた陽介は、教師に中原中也を教える人がいて、松島ととよ子の2名だけが書きうつしていた、とよ子は行方不明になったが立川で見た噂を聞いた、昭和26末から松島も行方不明と言った。
その事を小高にも話したと言った。
<以下、隠し字>
石井刑事は、昭和26年の立川での米人射殺事件を見つけるが、陽介の意見は仮説と言い、松島も同様に証拠がなくアリバイもあると言った。
陽介は、水はポリタンクで移動出来ると気づき松島を呼び出した。

監督:吉川義一
脚本:岡本克巳
出演:水谷豊・森口瑤子・小野武彦・芦川よしみ・三條美紀・内田稔・阪上和子・下塚誠・下川辰平
制作年:1994年

感想: 小河内ダム建設で沈んだ村と、それが現在の奥多摩湖になった過去と、その当時の朝鮮動乱の時代を背景に描く。
過去の出来事が都合良く判るのは、2時間サスペンスの定番だが赴任先の必然性を出す事には成功しています。

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