松本清張・サスペンス4

強き蟻

沢田伊佐子(米倉涼子)は31歳年上の会社役員・沢田信弘(橋爪功)の後妻で、信弘の役員待遇を気に揉み、社長・川瀬(矢島健一)は伊佐子はうとく周囲は水商売と見、年下の愛人・石井(要潤)に会い行くと血を流しベッドに石井の元彼女・福島乃理子(土谷春陽)がいて、石井は揉み合い頭を強打し睡眠薬で自殺を図ったといい、伊佐子は薬を吐かせ乃理子が助かったと確認し救急車を呼ぶせ自宅へ戻り、信弘は200坪の家を所有するが生活は家政婦・椿サキ(かたせ梨乃)が管理し伊佐子は納得しなかった。
石井から乃理子が死んだ連絡が入り弁護士を頼まれ伊佐子は引き受け、信弘に自叙伝を作るため塩月の紹介で口述筆記速記者・宮原素子(比嘉愛未)が訪ねて来た。
伊佐子はパトロン的な代議士の叔父をもつ食品会社副社長・塩月(宅麻伸)に事件の揉み消しと弁護士・佐伯(高嶋政伸)に叔父を紹介と約束し石井の担当にした。
伊佐子は3年後に信弘の資産10億円を狙い寿命を食事で調節中で、佐伯は塩月に警察は未必の故意で殺人と言い死因は脳挫傷で動機は金の貢ぎだが未必の故意の証明は難しいと言い、伊佐子は信弘の前妻との娘・妙子(笛木優子)が訪れ伊佐子に不信感を言い、信弘と素子が楽しそうに現れ、塩月から不倫中に石井が逮捕されたと聞いた。
伊佐子が帰ると救急車が来て信弘が入院し、病院で医師から心筋梗塞で次の3度目が危険と言われ、伊佐子は信弘に迫られ、呼び出された佐伯は無罪を取ると言った。
伊佐子は病院で素子に会い、見舞いの川瀬は信弘が自ら辞任と言い、塩月は常識がないと無視し、佐伯に夢を語り信弘に遺言書を書かす相談をした。
信弘は伊佐子と佐伯に医者に言われ遺言書を書き、伊佐子の再婚を禁じ残産全ての贈与の内容で、塩月から電話で叔父が死んだと言い、佐伯とビジネスパートナーとなった。
石井は裁判で無罪になり、佐伯は北海道に就職先を見つけ手切れ金を渡し、信弘は退院し30年生きられると言い、伊佐子は信弘が退職し家計を管理すると言った。
伊佐子は屋根裏部屋に佐伯を呼び出し、素子は信弘の体力の衰えを言い、塩月は電話で叔父の死後用無しと言い、素子を出入り禁止にした。
<以下、隠し字>
信弘が素子を呼び、伊佐子は佐伯から屋敷を紹介され銀行頭取(三浦浩一)から借りて購入し佐伯も借金に巻き込み借金を重ね、信弘は伊佐子に男がいると見抜き遺言書破棄と殺害を言い、石井が伊佐子に来て脅し殺害の共犯と述べ一事不再理を述べた。
伊佐子は石井から時間を延ばし、佐伯との不倫を録音し信弘を興奮させ発作で殺し偽装し、葬儀後に石井が伊佐子と佐伯との関係を知り佐伯を刺し殺し伊佐子を刺し、石井は逮捕されて、入院した伊佐子に素子は信弘から頼まれていたと妙子に贈与を書き換えた新しい日付の遺言書を見せた。
素子は信弘は全てを知っていて殺される計画だと言い、伊佐子は素子が好きなのは塩月だと知り、素子に相談を持ち掛け・・。


監督:松田秀知
脚本:森下直
原作:松本清張「強き蟻」
出演者:米倉涼子・高嶋政伸・比嘉愛未・橋爪功・かたせ梨乃・要潤・土谷春陽・宅麻伸・笛木優子・矢島健一・三浦浩一
制作年:2014年


感想: コンゲームにしては、やや薄い。
老人の遊びなのだろうか。
全体に流れに乗った展開だ。

かげろう絵図

島田又左右衛門が処刑され、寺社奉行・脇坂安薫(竹中直人)は息子・新之助(山本耕史)に今は播磨守・中野石翁(國村隼)の天下で手が出せないと言い、粕谷市太夫の娘・縫(米倉涼子)に幼時の父の不遇の死を告げ養女入りを求め、新之助は医学を学ぶと旅立ち、5年後に11代将軍・徳川家斉(津川雅彦)は将軍職を家慶(石橋保)に譲るが実権を石翁と実権を握り、家斉は正室・寔子(白石加代子)より石翁の養女の側室・お美代の方(中村優子)を側に置き娘・陽姫が子・前田犬千代を連れ、石翁は前田家用人・奥村大膳(宇梶剛士)と次期将軍に願い、歌競べで寔子とお美代の方と側室・お多喜(高月彩良)を中臈・菊川(富永沙織)らが見守り、石翁の腹心・水野美濃守(木下ほうか)がお美代の方を持ち上げた。
家斉はお多喜に歌を桜の木に結べさせ台に乗るが風で落ち、中臈・佐島(高畑淳子)が流産と告げ、お登美と名乗り大奥へ潜入していた縫は蝋を塗った踏み台を準備したとお美代の方に気に入られ中臈・菊川の部屋付きになり、縫は脇坂に宿下がりしお美代の実父が住職の感応寺の僧侶らと佐島ら中臈らが密通と聞き突き止める事を命じられ、新之助は闇医者となり富本節師匠・豊春(夏川結衣)の元に身を寄せ縫が会うと気遣われた。
新之助は連れられ女を診察し身籠り口止めされ、お登美は菊川の体調を心配し、家斉に目をつけられ夜伽を命じられたが家斉が倒れ、家慶や老中・水野越前守忠邦(西田健)らが動揺し、美濃守が石翁に死後の身の振り方を相談し犬千代を後継に狙い策を練り石翁が踏み台探しを命じ、お登美は落合久蔵(木村祐一)に踏み台を見つけられるが代参の伴で寺へ行くと聞き、奥村は菊川から妊娠と町医者診断と自分の子と聞き、菊川はお登美に妊娠で石翁宅に宿下がりと告げ、石翁は菊川を姿を変え溺死させ闇医者の処置を命じ、新之助は豊春に女を話すと妹だと言われ、新之助は呼び出され襲われた。
家斉が悪化し、美濃守は図り事で次期将軍は犬千代と書かれたお墨付きを作らせ石翁らが話すと新之助が聞き脇坂に知らせ、お墨付きを奪えと命じられ、水神祭りでお登美は落合から大奥の腐敗を聞き襲われたが新之助に助けられ、豊春が来て、菊川が水死体で発見されお登美は菊川で石翁を頼る筈と告げ、新之助は豊春に石翁の仕業と言い、豊春は真相を探りに中野石翁邸に女中・おこんで潜入した。
お登美は中臈・佐島に近づき感応寺に行き、佐島と僧・日祥(金子昇)が話し、お登美は日祥に言い寄られ証に佐島の文を求め、お登美は寔子にお美代の方の代参と告げると周囲が家斉を騙すと言われ、おこんは石翁に言い寄られ連れお墨付きを隠し、おこんが探すと無く石翁に襲われ眼を刺し逃げ奥村に追われたが新之助が助け豊春に仇を討たせ、新之助は脇坂にお墨付きは手に入らぬと告げ、お登美は日祥から佐島の文を渡され言い寄られ、佐島が日祥を探し匂いと櫛を見つけ、家斉が悪化し、お登美は部屋に外から閂で閉じ込められ佐島に襲われ、お美代の方が2人を探させ、女中が死にかけたお登美が見つけた。
<以下、隠し字>
豊春が新之助と別れ旅に出、脇坂が佐島の文を見、家斉が死に脇坂と新之助が越前守に佐島の文を見せ不足と聞き、お登美が寔子から聞いた言葉を告げ、美濃守が家慶にお墨付きを見せ石翁一味が成功を信じ喜ぶと、越前守が美濃守を呼びお役御免と告げ、寔子がお墨付きが偽筆で謀略と言い、石翁とお美代の方らは失脚し、脇坂と新之助は後日町で死んだと思っていたお登美と出会い閉じ込められた部屋で死んだ振りし見つけた女中が知らせに出た隙に逃げたと聞いた。


監督:林徹
脚本:浅野妙子
原作:松本清張「かげろう絵図」
出演者:米倉涼子・山本耕史・竹中直人・津川雅彦・石橋保・白石加代子・中村優子・國村隼・木下ほうか・富永沙織・高畑淳子・夏川結衣・宇梶剛士・木村祐一・高月彩良・金子昇・西田健
制作年:2016年


感想: 江戸時代の大奥の勢力争いと、謀略戦だ。
反対派が実権派の腐敗と謀略を暴く。
社会派とは異なるが、発想に似た部分はある。

山峡の章

朝川昌子(菊川怜)は教員の父・清(藤田宗久)と専業主婦の母・亮子(宮崎美子)と妹・伶子(星野真里)の家族で、信用金庫で働くが1人旅で外務省勤務・堀沢英夫(平岳大)と出会い、友人のジャーナリスト・吉木信弘(岡田義徳)と会い、英夫が3年間東南アジアに赴任し帰り赴任時の同僚・竹村(勝村政信)の司会で結婚式を行った。
昌子は新婚当初は幸せだったが次第に英夫は帰りが遅くなり、吉木が男から原田良美の情報と密輸組織を聞くと刑事・川崎(松田賢二)が忠告し吉木は妹の病気を思い出し、ある日昌子は伶子と亮子を訪ね帰りに自宅近くのマンションから出る吉木を見かけたが秘密と頼まれ、その夜にそのマンションで水商売の女が自殺と聞き川崎刑事に協力を求められ、吉木から自殺に見せかけた他殺と聞いた。
数日後に昌子は伶子が来て事業家・小野喜久子(中込佐知子)を聞き夜食事し1人で帰ると部屋が荒らされ、帰宅した英夫は何か探し警察に届けず、関西出張を告げ英夫は昌子に詫び「話したい事がある」と言い発ち、2日後に職場の野地(菊池均也)と竹村から休暇と電話が有り会い様子が変と聞き、帰ると長野信濃警察・安田から英夫と伶子の遺体が発見されたと聞いた。
昌子は長野へ行き遺体を確認し心中と聞き、葬儀後に両親に英夫を責められ喜久子が来て伶子のメールを見せ不倫と聞き、事件の湖に行き吉木と会い、昌子は吉木と安田から足取りを聞き、吉木に喜久子のメールを伝え宛先は無く、宿で英夫が滝田とメモし翌日女が迎えたと聞き昌子は空き巣を話し、吉木は外務省を調べ、昌子は遺品を調べクラブ・タキタを見つけ働きホステス・渚(永池南津子)と知り合いクラブの予約票に外務省アジア開発課を見つけ野地が来て、吉木に知らせレンタカーを借りた女性が運転上手で伶子で無いと知り、野地が麻薬組織幹部・大友と会ったと知り、吉木は川崎に知らせた。
<以下、隠し字>
昌子は公安に英夫の収賄容疑で家宅捜索を受け、竹村に呼ばれ野地が出張と聞き、吉木に伝えると川崎刑事に話すと勧められ、昌子は喜久子を訪ね伶子を聞くと大友に襲われ車で湖に運ばれ、吉木は喜久子が偽と知り、昌子は溺れさせかけると吉木と警察が来て喜久子と大友を逮捕した。
昌子は目を覚まし、吉木から英夫が野地と会おうとしたが喜久子と大友が向かい土砂被害で遅れ翌日に伶子になりすまし喜久子がレンタカーを借り英夫を連れ、大友が英夫と伶子を睡眠薬で眠らせ心中に見せかけ殺害し、収賄は竹村が黒幕で英夫が野地を告発するのを阻止したと聞いた。


監督:木下高男
脚本:渡辺千穂
原作:松本清張「山峡の章」
出演者:菊川怜・岡田義徳・平岳大・松田賢二・中込佐知子・菊池均也・藤田宗久・堀まゆみ・永池南津子・星野真里・宮崎美子・勝村政信
制作年:2010年


感想: 官僚・収賄・心中は松本清張のパターンだ。
心中に見せかけた殺人は動機があれば見逃しやすい。
背景の社会悪も絡む。

一年半待て

保険会社勧誘員・須村さと子(石田ひかり)が無職の夫・要吉(渋川清彦)殺害容疑で逮捕され息子・タカシ(鴇田蒼太郎)が見送り、テレビで事件の夜に要吉が酔いさと子に暴行を働きタカシを守るため夫殺害に至ったと報じ、容疑者がDV被害者で女性の人権の注目の事件で弁護士・高森滝子(菊川怜)は擁護団体の議員・今井邦子(ジュディ・オング)と長谷部理恵(ふせえり)と早坂しのぶからさと子の弁護依頼を受け、法律事務所所長・栗原英彦(寺田農)にも勧められ「正当防衛は無理でも、情状酌量狙いで執行猶予なら勝ったも同然」と言われた。
滝子はさと子を接見し殺意が無いと確認し要吉の浮気相手のバーミモザのママ・脇田静代(雛形あきこ)がさと子の高校の1年先輩で勧めたと落ち度を認め、滝子は静代から常連客と聞き男女関係を責めるとさと子が要吉を拒絶と聞き、第1回公判で滝子はさと子の正当防衛を主張し、殺意を主張する検事(松澤一之)の意見と対立し、第2回公判で滝子は殺意が無いと主張し、第3回公判で検事は離婚しない事を疑問視し滝子は女性の人権がないと主張した。
滝子はマスコミの共感を受け、半年後に判決で懲役3年で2年間執行猶予となり、さと子は控訴を尋ねる滝子に「裁判は一事不再理」と控訴しないと告げ、注目された滝子は邦子から参議院選挙への出馬打診を受けたが、滝子は元夫の経産省・内田哲哉(前川泰之)から電話を受け、後輩の発電エンジニア・岡島久男(戸次重幸)がさと子と恋人で結婚を申し込みさと子に騙されていると聞いた。
滝子は岡島から発電所でさと子と会い付き合い昨年春に子持ち未亡人と聞いていてプロポーズすると、「一年半待てるか」と言われ1年後に事件が起き夫と動機を知りどう責任を取るべきか聞かれた。
<以下、隠し字>
滝子は静代にさと子夫妻と昨秋会ったと聞き、須村の家主(近江谷太朗)から昨年春に入居で隣人は事件日の喧嘩で要吉の声を聞いておらず、内田にさと子は殺人の疑いで危険で岡島を近づけるなと言うとさと子と岡島に任せろと言われ、さと子とタカシは岡島の仕事場に向かい滝子と秘書・熊坂が待ち、岡島が転勤しプロポーズされた時の「一年半」と「一事不再理」で真相を尋ねられ、準備期間が1年で裁判が半年で、DVを偽装し夫を殺害し喧嘩を偽装を告げられさと子は認め、岡島が去るが自分は悪かったとは認めず幸せになりたかったと答えた。


監督:西浦正記
脚本:ジェームス三木
原作:松本清張「一年半待て」
出演者:菊川怜・雛形あきこ・戸次重幸・前川泰之・ふせえり・松澤一之・近江谷太朗・春海四方・渋川清彦・寺田農・ジュディオング・石田ひかり・鴇田蒼太郎
制作年:2016年


感想: 著名な短編小説のドラマ化で度々行われている。
前半が原作で、後半がオリジナルだろう。
時代が変わると、背景は変わるが、一年半の見込みは疑問はある。

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