「風の果て」

キャスト

上村隼太・桑山隼太・桑山又左右衛門(福士誠次)(佐藤浩市)
桑山満江(安藤サクラ)(石田えり)
野瀬市之丞(高倉蒼甫)(遠藤憲一)
杉山鹿之助・杉山忠兵衛(斎藤工)(仲村トオル)
三矢庄六・藤井庄六
寺田一蔵(三浦アキフミ)
宮坂類(涼風真世)
ふき(佐藤仁美)(平淑恵)
桑山孫助(蟹江敬三)

スタッフ

監督:吉村芳之
脚本:竹山洋
原作:藤沢周平

第1回「分かれ道」

上村隼太が幼い頃、父が雪の中に出て凍死した。
首席家老の桑山又左衛門(佐藤浩市)に反対派が家老辞職の噂を流し若き日々を思う事があった。
婿入り前は上村隼太(福士誠治)と言い、仲間5人・杉山鹿之助(斎藤工)・野瀬市之丞(高倉蒼甫)・三矢庄六・寺田一蔵(三浦アキフミ)の若者だった。
家老の跡取り杉山鹿之助以外は貧しい次三男で、楢岡図書の話を聞きその一人娘千加(松岡璃奈子)の婿になる夢をみていた。
寺田一蔵に婿入り話が起き、相手は五才年上の宮坂家の類(涼風真世)であり一蔵は類の四人目の婿だったが隼太は前の夫との諍いを見た。
隼太は上村130石の家に帰ると兄・忠左衛門・女中ふき・兄嫁らが待っており、桑山孫助(蟹江敬三)の娘・満江(安藤サクラ)との縁談があった。
隼太は市之丞に宮坂類の事を一蔵に話そうとするがその家の貧しさを見て何も言えなかった。

第2回「太蔵が原」

53歳の初夏、首席家老の桑山又左衛門(佐藤浩市)は藤井庄六を訪問し20石と貧しくつつましい暮らしだが噂に負けるなと言われた。
上村隼太(福士誠治)と仲間達の憧れ楢岡千加(松岡璃奈子)が一千石の家督を継いだ杉山鹿之助(斎藤工)の嫁になり夢が消えた。
一蔵と宮坂類を訪問するが無事に行っている様に思えた。
杉山や楢岡の失脚の原因は太蔵が原の開墾の是非であり、郡奉行・桑山孫助(蟹江敬三)の反対が影響したというので隼太は太蔵が原を見に行き桑山孫助と出会い襲われた所を助けた。
桑山家で隼太は立ち消えになった縁談が断った事になっていると知り、孫助は身の上話から農業の素晴らしさを語り、隼太は孫助の生き方に惚れていった。
隼太は娘の満江(安藤サクラ)を紹介され、仲人が入って祝言をして互いによろしくと挨拶した。
野瀬市之丞(高倉蒼甫)から桑山隼太に寺田一蔵(三浦アキフミ)が人を斬って逃げたと連絡があった。

第3回「春雷」

53歳の首席家老の桑山又左衛門(佐藤浩市)は妻・満江(石田えり)と一蔵の死をまだ悔やんでいると語った。
太蔵が原の開墾が始まり桑山隼太(福士誠治)も手伝いを命じられた。
宮坂一蔵(三浦アキフミ)が妻・類(涼風真世)の不倫相手を斬って脱藩した、仲間で相談して野瀬市之丞(高岡蒼甫)が討手に選び死罪の一蔵を追い、隼太は5年前に一蔵の祝言止めなかった事を悔やむが満江(安藤サクラ)は悔やむなら自身で斬るべきと言い、隼太はふき(佐藤仁美)の所に逃げ込んだ。
太蔵が原の開墾は困難を極め、役目違いの小黒勝三郎(三上市朗)の言葉に隼太は反論したが父・孫助(蟹江敬三)が病で倒れ帰宅したが、大雨が続きついに孫助の意見通りに山崩れが起きて開墾は中止となった。
翌年、孫助(蟹江敬三)は隠居し隼太に家督を譲り、隼太は郷方回りを勤めた。
野瀬(遠藤憲一)が一蔵を斬り戻った。
妻・満江(石田えり)が長男・孫一郎出産の時にも隼太(佐藤浩市)は代官所におり立ち会えなかった。

第4回「出世」

桑山隼太(佐藤浩市)は藤井庄六から安産のお守りを貰い、夫が出世の道を歩き始めたという妻・満江(石田えり)の2人目の出産間近の時に、隼太は杉山忠兵衛(仲村トオル)から用人・牧原(黒沼弘巳)の護衛を頼まれ忠兵衛は上申書を出したと言い、父・孫助(蟹江敬三)に伝えると国はいずれ、小黒派と杉山派に別れると言った。
隼太は羽太屋から国境まで牧原を送る道で、牧原は父・孫助を高く評価しており優秀な測量家を派遣するので太蔵が原を開墾せよと言った。
しかし、小黒勝三郎(三上市朗)と刺客に囲まれるが、突然に野瀬(遠藤憲一)が現れて刺客を斬り勝三郎らを蹴散らして消えた。
隼太は居所のないふき(平淑恵)をざくろ屋に奉公させた。
隼太は孫助(蟹江敬三)と飢饉が来る事を予測し、上申書を作成して提出しその内容の早稲の栽培と、上方米の羽太屋による買い付け共に認められて、寒い夏の凶作の被害が軽減した。
仕事に忙しく漸く家に戻ると長男・孫一郎が死去していた。
6年後に隼太は白田卿代官になり、牧原から江戸から測量師を送る書状が届いた。
野瀬は類(涼風真世)と夫婦になり、地獄に落ちたいと語った。
隼太は太蔵が原で水路を小黒に隠れて探す計画を立て始めた。

第5回「政変」

隼太(佐藤浩市)が代官になった1年後に、杉山派と小黒派が別れ杉山忠兵衛(仲村トオル)が隼太に声を掛けて来た。
江戸から測量家・田口洋平(金井勇太)が牧原(黒沼弘巳)から現地に来て、隼太は市之丞(遠藤憲一)を用心棒に田口と太蔵が原に調査に入り調査をし、しばらく後に水路の絵図面が届き費用と人の問題となった。
杉山忠兵衛が隼太と市之丞を呼び出し逃げ出した小黒関係者を斬った。
政変が起こり小黒派は失脚し、杉山忠兵衛(仲村トオル)が首席家老となり、隼太は郡奉行に昇進するが孫助(蟹江敬三)は杉山に注意と言った。
太蔵が原の開墾は杉山は反対だったが、隼太は商人に請け負わす案を出し羽太屋と交渉し任せた。
孫助(蟹江敬三)が倒れ、隼太に又左右衛門の名を継げと言い残した。

第6回「最後の敵」

太蔵が原の開墾は成功し、3年後に殿(柳ユーレイ)の視察があり桑山又左衛門(佐藤浩市)は認められ郡代になり、4年後に中老になり家を引越630石となった。
お家の要人・原口(鶴田忍)らが又左衛門に、殿の期待は大きく小黒の家を潰した杉山忠兵衛(仲村トオル)は罠を仕掛けてやり過ぎたと言った。
又左衛門は自身の中老昇進に反対したのが杉山と知り、大目付から小黒派に罠を掛けたのが杉山と知り、家老になった又左衛門は執政の中で自身と和田のみが杉山派以外になり互いに意見に同調するようにした。
杉山は羽太屋の帳簿を調べるが、羽太屋から杉山が金倉の銀の塊を使っていると聞いた。杉山は年貢を増やす提案をするが又左衛門は大評定での討議を提案し和田も同意した。
殿のいる評定の場で杉山の行った問題を指摘した。

第7回「果たし状」」

桑山又左衛門(佐藤浩市)は首席家老になり、杉山忠兵衛(仲村トオル)派を執政から外しひとりで執政を決めて一新した。
羽太屋が杉山派の商人を連れて来てつなぎをつけ、卯の花のふき(平淑恵)は心臓が悪いと言った。
野瀬市之丞(遠藤憲一)が祝いに来て一蔵の27回忌だが「墓参りすら行かずに出世した」と又左衛門を咎めるが、ただ自分は欲張りと答えた。
初夏に、又左衛門へ野瀬市之丞から果たし状が届くが、市之丞の居場所は分からなく、類(涼風真世)は野瀬は死病と言い、野瀬は庄六を訪ねていた。
又左衛門は、満江(石田えり)と大目付に話し、若い頃の隼太(福士誠治)ならどうしたかと考え自分と杉山は同じだと思い、見届け役の一人を連れ出向いた。
指定場所でひとり待つと野瀬市之丞が現れた。

最終回「尚(なお)、足(たる)を知らず」

又左衛門(佐藤浩市)と野瀬市之丞(遠藤憲一)の果たし合いが始まり、又左衛門は老いを感じ市之丞は死病を自覚しての闘いだったが、又左衛門の腕を傷つけた後に市之丞が斬られ倒れた。
野瀬は、一蔵は自分が斬るべきだったという又左衛門に、どちらもよくやったと告げて死んだ。
庄六に家で手当てを受けながら又左衛門は果たし合いを話すと、1対1は良かったと言い、家に戻ると義母・可音は孫助ならば時が解決するから忘れろというだろうと言った。
二年後の夏に、出奔者が出て処分に対し、若い執政が又左衛門に反対し、斬れといったが追っ手が捕らえて連れ帰り、又左衛門は処分を翌日に延ばした。
忠兵衛(仲村トオル)は野瀬を生かして来たと言い首席家老を辞めるかと言うと、又左衛門は過去のつけを野瀬を斬って帰したと答えた。
庄六に執政が迷っては生死にかかわるというと、野瀬は又左衛門が好きだったから果たし状を送り、死病の自分を斬ってもらいたかったと言われた。
又左衛門は、出奔者の処分を若い執政にまかせ、満江(石田えり)から隠居だと言われると、欲はまだあるが体がついて行かないと答えた。

感想

出世を目指す杉山と桑山、自由に生きる庄六、若くして罪で斬られた一蔵とそれを斬って生涯を狂わせた野瀬の5人の、若いときから老齢までを描く。
人間の持つ欲と、後悔がその後の生き方を変える。
ふと自分を、外から見ると違った様に見える。
いくら出世しても、満足する事はない。
自由な庄六の生き方が地味だが、目立つ。

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