池波正太郎・サスペンス2

剣客商売 御老中暗殺

諸国の修行から江戸に戻り、父・秋山小兵衛(北大路欣也)の世話で道場を構えた秋山大治郎(斎藤工)は老中・田沼意次(國村隼)が催した剣術試合に牛堀九万之助(上田耕一)の推挙ででて七番勝ち抜き意次らの注目を集めた。
後日、大治郎に家名を伏せ大垣四郎兵衛という男が来て、ある人物の両腕の骨を折って欲しいと言うが断り、おつぎ(山下裕子)の世話で質素に暮らしていた。
翌日、父・小兵衛に話をしに行くと世渡り下手に歯がゆい小兵衛は助言後に、下女のおはる(貫地谷しほり)に手をつけたと告白した。
小兵衛が調べると、男は五千石の旗本・永井和泉守(鶴田忍)の用人で大山(小野了)とで、目明しで女房おみね(おみね)と暮らす弥七(山田純大)に探りを入れさすと永井家では嫡男・右京(寿大聡)と老中・田沼意次の隠し子との縁談の話があるとわかった。
田沼の隠し子は佐々木三冬(杏)といい、小兵衛が旧知の牛堀九万之助によると、女ではあるが、井関道場の四天王に数えられる剣の使い手で、三冬は夫は自分を剣で負かせる人物と公言し、今は根岸の別宅で嘉助(平井靖)と暮らしていた。
田沼家の台所努めの飯田平助(斉藤暁)の息子・粂太郎(内野謙太)は弟子で良い道場を探す約束があった。
三冬は大人数に襲われたが小兵衛に救われ、永井右京(寿大聡)にも勝ったが、ある日飯田平助が掏られた財布を取り戻したが妙な薬があり、小兵衛が知人の医師・小川宗哲(古谷一行)に調べて貰うと入手困難な南蛮の毒だった。
飯田平助の素性を意次側用人・生島次郎太夫(山田明郷)きいて一橋治済(神保悟志)ゆかりと知り、老中暗殺の可能性もあったが飯田平助は休んでいた。 三冬と小兵衛の連絡係を大治郎にして、意次に知らせ病気として中屋敷に移った。
<以下、隠し字>
暗殺一味は、飯田平助殺害を狙うが三冬・小兵衛・大治郎に妨げられた。
田沼意次は騒ぎを起こさぬ始末をしたが、飯田平助は自害した。
田沼意次は忍びで三冬と共に小兵衛を訪ね、政ごとの難しさを話し、小兵衛はおはるを後添えにすると紹介した。
三冬は大治郎の道場を訪れ、手合わせをして途中で止め飯田粂太郎の弟子入りを頼んだ。小兵衛とおはるの婚礼が行われた。


脚本:金子成人
監督:山下智彦
出演者:北大路欣也・斎藤工・貫地谷しほり・杏・山田純大・山田明郷・内野謙太・國村隼・古谷一行・上田耕一・平井靖・栗田よう子・山下裕子・斉藤暁・神保悟志・西田健・寿大聡・小野了
原作:池波正太郎・「剣客商売」(「女武芸者」「御老中毒殺」)
制作年:2012年


感想: 何回目かの映像化だが、知名度の高い藤田まこと主演のシリーズの後になる。
一番最初の、主人公の出会いから始まる。

泥鰌の和助始末

大工だった和助(石橋蓮司)は盗賊の惣七(寺島進)と鎌太郎(吉見一豊)に盗みの相談を持ちかけ、予定を言わない和助だが惣七は受けた。
和助は親方の死後に、その息子・徳次郎(福士誠治)を引取り、徳次郎はおみね(酒井美紀)と深い仲になり、おみねは徳次郎と江戸を離れたいと言った。
おまさ(梶芽衣子)は徳次郎とおみねに会い、大滝の五郎蔵(綿引勝彦)の下にいると言い、惣七の店を見つけ不審に思った五郎蔵とおまさは長谷川平蔵(中村吉右衛門)に報告し平蔵は惣七の店を見に行った。
おまさから聞いた伊佐治(三浦浩一)は徳次郎が髪結いで、和助の家も突き止め惣七は覚えのない平蔵だが和助は30年前の出来事を思い出した。
和助は大工で家に細工して時間を掛けて押し込む泥棒で誰も知らなかったが平蔵は思い出があり、5年前に盗賊をやめた和助が惣七と再び「お盗め」をする訳は不明だった。
平蔵は和助を尾行し見つかると「本所の鉄」と名乗り30年前に盗み仲間に入るが、盗みに染まるなと諭された事を語った。
徳次郎はおみねに「お盗め」は3日後と言い、おみねから聞いた惣七は店を閉めたが和助は日にちは言っていないと言った。
おまさは和助が参っていた墓が全て今年の死者で出会ったのが大津屋の娘と平蔵に伝え、大工の棟梁(中村敦夫)は和助が自分で姿を消し、墓は磯太郎の家族で大津屋の養子に決まっていたが先代の死後実子に変わり、濡れ衣で磯太郎は止めて死に両親もその後に心痛で死んだと言った。
平蔵は同心の酒井祐助(勝野洋)・木村忠吾(尾美としのり)・村松(沼田爆)らに大津屋を見張らせるが和助の細工の時間がない事に悩み、おまさが鎌太郎を見つけ浪人が数人集まっていると知らすが平蔵は和助らしくないと思い、おまさはおみねの居場所も見つけた。
<以下、隠し字>
惣七が動き「お盗め」が近いと知るが和助は動かなかったが、大晦日にどちらも姿を消し元日の朝におみねも消え、おまさ・五郎蔵・粂八(蟹江敬三)らは浪人の居場所を見つけ見張りながら平蔵に連絡し、伊佐治は棟梁から15年前に和助が大津屋の改築に参加していたと聞いた。
和助と惣七一味は大津屋に細工で易々忍び込み船で戻り、浪人はおみねと和助を斬り踏み込んだ火付け盗賊改めに捕らえられ、重傷の和助は役宅で看病され平蔵が「本所の鉄」と知り自分の眼が正しかったと言った。
和助は死に、大津屋は金は戻ったが2年後和助が奪い捨てた書き付け類を失った事で店が傾き、平蔵は和助らしい年月を掛けた復讐と思った。


監督:吉田啓一郎
脚本:金子成人
原作:池波正太郎「泥鰌の和助始末」「おみね徳次郎」
出演者:中村吉右衛門・多岐川裕美・梶芽衣子・綿引勝彦・蟹江敬三・勝野洋・尾美としのり・蟹江敬三・三浦浩一・石橋蓮司・寺島進・福士誠治・吉見一豊・酒井美紀・中村敦夫・沼田爆・勝野洋
制作年:2013年


感想: 既に全ての作品が映像化されているので、2度目の制作になるが1話1時間から、2話を2時間半にアレンジしたオリジナル脚本だ。
だが登場キャラクターの特徴と交わりがこのシリーズの特徴なので、原作のそして長く作られて来た良さは残る。
長い時間で作られているシリーズで、レギュラー人の俳優の年齢も変わり、死去した者もおり、繰り返し見たいシリーズだ。

見張りの糸

長谷川平蔵(中村吉右衛門)の密偵・粂八(蟹江敬三)が幼なじみの金太郎(渡辺いっけい)と再会し「お盗め」に誘われたが詳細を聞くと金太郎は話を止めた。
粂八は平蔵に金太郎のことを報告し、大黒屋を盗人宿と伝え、平蔵は大黒屋のそばの和泉屋を見張り所にするべく部下の酒井祐助(勝野洋)や小林金弥(中村又五郎)らが和泉屋主人・忠兵衛(中村嘉葎雄)から2階を借り受けたが主人と番頭(本田博太郎)と孫夫婦が住んでいた。
金太郎を尾行した伊三次(三浦浩一)は清吉という3年前に死んだ男の母・おそのと子に金を渡しているのを見た。
和泉屋を訪れた平蔵は主人が腹が据わっていると感心するが、実は忠兵衛は昔「堂ヶ原の忠兵衛」の異名を取った盗賊の頭で、火付盗賊改メ方の平蔵に2階を乗っ取られたと嘆いていた。
おまさ(梶芽衣子)や五郎蔵(綿引勝彦)や粂八は、金太郎が押し込みで清吉と考え、平蔵に先代のむじなの頭領は人殺しを嫌ったが死に、後を継いだ2代目・むじなの豊三(木下ほうか)が殺し働きをしていると話した。
本配下の浪人・戸田(隆大介)が忠兵衛と孫娘・お弓を見て、隠し金を狙う事を考えて仲間を集め始め、豊三の配下・権六が金太郎に繋ぎを催促して、権六を木村忠吾(尾美としのり)や盗賊改がつけると旅籠に泊まり、金太郎を粂八がつけると山中の豊三の元に行くが、仲間を抜ける為に来た戸田らに見つかり捕らわれた。
粂八の行方不明に平蔵は迷うが、忠兵衛と番頭は尾行して知っていた、粂八は金太郎に清吉殺しを悔やむなら、五郎蔵に繋ぎを取れと言うが、豊三はおしこみ日が決まったので、金太郎に粂八殺しを命じ金太郎は急所を外して刺して崖から突き落とし、番頭が手当てをして連絡して姿を消した。
権六が大黒屋に入り、押し込みが近いと平蔵は感じ、戸田らが和泉屋押し込みを計画するのを盗み聞き「堂ヶ原の忠兵衛」の名前も知った。
<以下、隠し字>
金太郎は悩むが、おそのの好意に五郎蔵に繋ぎを取ろうとするが豊三らに殺され、つけていた番頭に押し込み先が丸屋と言い残し、忠兵衛は丸屋押し込みの投げ文を金太郎の名で平蔵に送り、盗賊改の捜査で引き込みを捕らえて押し込み日時を知った。
平蔵は丸屋の全てを酒井に任せ、久栄(多岐川裕美)には風邪と言ったが当日に和泉屋に押し込んだ戸田ら浪人を斬った。
そして、・・・・・。


監督:吉田啓一郎
脚本:田村惠
原作:池波正太郎「見張りの糸」
出演者:中村吉右衛門・多岐川裕美・梶芽衣子・蟹江敬三・三浦浩一・中村又五郎・綿引勝彦・木下ほうか・隆大介・尾美としのり・渡辺いっけい・中村嘉葎雄・本田博太郎・勝野洋
製作年:2013年


感想: 2組の盗賊とかっての1組の盗賊が、2カ所を狙う。
盗賊の隠居場所に、見張り所がおかれるという状態で話がすすむ。
切れた筈の糸が、盗賊により繋がり、逆に狙われたときに平蔵が動く。

剣客商売ー剣の誓約

秋山小兵衛(北大路欣也)と女房・おはる(貫地谷しほり)に佐々木三冬(杏)が来て、父・田沼意次(國村隼)の田沼道場の師範に息子・大治郎(斎藤工)を推挙を言うと小兵衛は師匠は別で直接話す様に言った。
三冬が大治郎と弟子・飯田粂太郎(内野謙太)を訪ねると、大治郎は自分の指導法が田沼道場で通用しないと返答を渋り、秋山道場の窮状から師範推挙の話を持ってきた三冬は大治郎の融通のない返答と堅物ぶりに腹を立て、意次や家臣の生島次郎太夫(山田明郷)は返事が不思議で、小兵衛は大治郎に世渡りを諭すが理解せず、意次や生島と会い三冬の行末の話しをし、そして田沼道場に大治郎が行くことになった。
小兵衛は小川宗哲(古谷一行)と世話をする・おとよ(床嶋佳子)と出会った。
大治郎の道場に嶋岡礼蔵(林隆三)が現れおつぎ(山下裕子)らが迎え、嶋岡は大治郎の師匠筋で小兵衛とも同門の剣客で、嶋岡は約定で20年来決着のつかない相手との真剣勝負で大和から江戸へきて、大治郎に勝負の立会と使者を頼み小兵衛には口止めした。
大治郎は柿本源七郎(金田明夫)を訪ね伊藤三弥(浜田学)を通じ返書を受け取った。
小兵衛は大治郎を訪ね客の嶋岡と会い、大治郎から柿本の返書を受け取り約定の事を話し、嶋岡は老いて今回の2度目は討たれて本望で立合は2日後に行うと言った。
辻道場の同門の小兵衛と嶋岡は話し合い、生き方は違うが互いに恥じてはいなく、大治郎は嶋岡の考えを受け継いでいた。
柿本は病に倒れ三弥の世話で療養中だが嶋岡の立合を受けていた。
三冬が小兵衛を訪ね、大治郎の師匠・嶋岡とその立合を聞き、小兵衛は前日に嶋岡に向かい、大治郎の道場で嶋岡が三弥の弓に襲われ、大治郎が追い三弥の右腕を斬るが、嶋岡は一味に殺された。
<以下、隠し字>
四谷の弥七(山田純大)と妻・おみね(栗田よう子)と傘屋の徳次郎(竜川剛)が大治郎と小兵衛に呼ばれ、3人が柿本を訪れ嶋岡の遺骸を見せると柿本は自害し、小兵衛は生島を通じ柿本家と伊藤家・伊藤嘉一郎(高杉瑞穂)に連絡し話しをまとめ、嶋岡は秋山家の墓に葬られたが大治郎は三弥が許せなかった。
伊藤三弥の仲間がおはるを襲おうとしたが小兵衛が邪魔し、大治郎の道場に寄った三冬が伊藤三弥の仲間に襲われ斬り返すと大治郎の妻かと聞かれ怒り、小兵衛は伊藤嘉一郎から仲間・檜村仁助(加治将樹)と三弥が江戸に来たと伝えられた。
小兵衛は宗哲の家で弥七に三弥探しを頼み、三弥は伊藤嘉一郎を呼び出すが金を断られ辻斬りを働いた。
弥七が三弥の居場所を突き止め小兵衛が向かうと大治郎も来て、三弥と檜村を外に誘き出し、小兵衛は三弥に剣の道を諭すが聞かず大治郎は斬った。


監督:山下智彦
脚本:金子成人
原作:池波正太郎「剣客商売」「剣の誓約」
出演者:北大路欣也・杏・貫地谷しほり・斎藤工・山田純大・山田明郷・内野謙太・山下裕子・栗田よう子・竜川剛・林隆三・床嶋佳子・浜田学・金田明夫・國村隼・古谷一行・加治将樹・高杉瑞穂
制作年:2013年
94m


感想: 原作の複数の短編を会わせてアレンジした。
複雑な過去に理由がある。
そこからはみ出た者もいる。

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